はるのぶのつれづれ

幼女の子宮で泳いでいた頃の記憶

小説「ふかがわばすたーず」(ニートスズキ作)を読む(第2回)

(ぶっちゃけこのブログ、読者居るのか?まあええか、とにもかくにも書く。)
2 小説、もしくは小ネタ集
 編集者からの評価を知ったとき、私は自分が面白いと感じた作品がなぜこのような結果になったのか分からなかった。なぜ最低(推定、以下略)の評価だったのか。評価シートを開封してその衝撃的な内容に放心したまま愕然とポテトを食らうニートスズキの表情を眺めつつ、私はしばし考え込んでいた。
 彼が当日に公表した作品も読んでみた。朗読としてはすでに聞いていたが文章として接するのはこれが初めてであった。初めてこの作品を読んだとき、評価の理由が少しだけ分かった。朗読と精読、この二つによる印象は明らかに異なっていた。
 一言でいえば面白く、面白くないのである。
 この作品は小説としては面白くないが、小ネタ集としては面白い。朗読として耳で聞いた印象と文章として目で読んだ印象とを比較して、私はこう思った。ニートスズキによる自作の朗読では、作者が強調したいところを自ずと声を上げながら朗読している。だから聴いている者も自然とその面白さが分かるようになっている。作品にちりばめられたネタやイベントの数々を何のストレスを感じることなく面白く聴くことができた。
 しかしそれがいったん文章となってしまうと、面白い場面を探し出すのはあくまでも読者である。作中のネタやイベントを自分で読み出して味わうのである。そのためには文章の叙述自体がイベントを引き立てなければならない。作品にあるひと山ひと山の等高線を文章自体が示さなければならない。
 しかし、「ふかがわばすたーず」の叙述は平坦すぎた。
 文章の調子が絶えず一定である。そのため読者は作中のイベントやネタに突然出くわすことになる。何の心の準備も行なっていない読者にとって突然のイベントはストレスの種となる。「ふかがわばすたーず」はネタが豊富だった。本来は作品の魅力であるはずの作者の遊び心の数々が、かえってストレスの元となりあだとなった。
 いまにして思えば、ニートスズキ自体が朗読時に自分の文章を読んで詰まっていた。そしてイベントやネタに至る場面で時折り小声になっていた。その後で「東陽ライス」などのネタを大きな声で読み上げ、時には自分のネタに爆笑もしていた。作者自らが文章そのものの強弱に従うのではなく、むしろ朗読によって単調な文体に強弱を付けていたのである。
 私が「ふかがわばすたーず」があるいは賞を逃しても一次審査は通過するかも知れないと思った理由はそこにあった。ネタは純粋に楽しい。そのネタを本人の朗読によって直接知りえたからこの作品を面白いと感じたのである。しかし単調な文体からネタを掘り起こすのは骨が折れる。編集者には彼のネタを面白いと感じる以前に彼のネタが届かなかったはずである。そこに私は「ふかがわばすたーず」が最低の評価を受けた理由を見出した。
 ここに至って読者はこう尋ねるだろう。「さいちゃんの小説のどこに欠点があって面白くないって言うの」、と。その要求に答えるため、なぜ本作品が最低の評価を受けたのか、その理由について具体例を挙げながら世界観と叙述の観点から考えていきたいと思う。それによって読者の要求に応えたいと思う。
(敬称略)
(参考)
イ「ふかがわばすたーず」ニートスズキhttp://www.geocities.jp/hirusai/hukaba.html
ロ「ふかがわばすたーず」朗読:ニートスズキ
1.ポリ容器置き場http://www.nicovideo.jp/watch/sm494390
2.みかかの忠告http://vision.ameba.jp/watch.do?movie=519914
3.家庭訪問http://www.nicovideo.jp/watch/sm650795
4.ルーツhttp://www.nicovideo.jp/watch/sm604413
6.アジトの陥落http://www.nicovideo.jp/watch/sm651364
7.決戦!http://vision.ameba.jp/watch.do?movie=519913
9.出撃!巨大ロボhttp://vision.ameba.jp/watch.do?movie=526619
(数字は本文に対応)
ハ「ふかがわばすたーず・実写版」出演:ニートスズキhttp://jp.youtube.com/watch?v=eivTeFsOKg4
再生数は少ないが、もっと評価されていい作品だ。
ニ ゲーム「フカガワバスターズ」製作:えすめた氏http://hukabasu.yamagomori.com/index.htm
「ふかばす」のゲーム版、堂々完成!!

後記(5月18日):

なお、実際に編集部から送られてきた評価はランクE(最低)ではなかったそうだ。私は開封動画で放心した彼の表情から判断したのだが、的が外れていた。
(参考)いや、別に最低の評価って訳じゃ(^_^;(「昼サイポータル」)
http://d.hatena.ne.jp/rahoraho/20080509/1210295055