はるのぶのつれづれ

幼女の子宮で泳いでいた頃の記憶

「先生、あなたは美しい。

どうしたらあなたのように女らしく、いや、人間を超越した美を獲得できるのですか。あなたは昔、宇宙人にさらわれたと仰っておられたが、それとあなたの美が関係しているのですか。」
「わたしはどうしても知りたいのです。あなたの美しさの秘密が。あなたの美しさはあなたに永遠の自信を与えているように思える。だがわたしは、すでに人生三十年を過ごしたにも関わらず、何も得たものはなかった。私は悔しいのです。あなたの美しさが。私よりはるかに歳を重ねられたあなたが、そのような美しさと自信に満ち溢れていることが、悔しい。」
「失礼だが、あなたにさえ、人生においての谷が、それも底なしの谷が存在したように思える。谷を知っているからこそあなたは美しい。あなたの美は生れ持った美貌だけで決して成り立っているのではない。神があなたに美貌をお与えになられても、あなたが生かさなければ結局は老いてお仕舞いになる。だがあなたは違った。あなたは今でも美しい。しかも歳を重ねて、より一層美しくなられた。あなたの美にはあなたの秘密が隠されているはずだ。」
「いかに美しく生まれようとも、神は必ず時の試練をお与えになる。あなたはその試練を越えられた。わたしはあなたの試練と、あなたの闘いを知りたい。もちろんこんな踏み込んだことを聞ける間柄ではないことは十二分に承知だ。しかし、わたしは神の試練を越えられたあなたを、尊敬している。あなたが試練において何を見られたのか、どうやってここまで昇られたのか、それを谷底のわたしに教えて頂きたい。」
「先生っ。あなたはなぜ笑う。あなたの美しさはすでに暴力的でさえあるのに。わたしは一生涯かけてもあなたの高みには昇れないかも知れない。いいや、すでにそれは絶望となってわたしに襲いかかっている。わたしはもう疲れている。だが、まだ踏み越えたいものがある。わたしが藁をもすがる思いであなたのところにやってきたのはそのためだ。わたしはあなたの高みに昇れるのなら何でもやる。人間性を疑われようとも構わない。」
「わたしがあなたに近づけるのなら、何ら道徳的な説教は聞きたくない。そんなものは何の役にも立たない。若い者だけが正義や道徳に対して無邪気になれる。わたしのような人間は、残りわずかな人生のなかで少しでも高みに昇るために、邪鬼になることをためらってはならない。生れた意味を少しでもこの世に残せるのなら、わたしは悪罵を恐れない。」
「最も道徳的なことは、わたしがこの世に居ないように振舞うことだ。自分を生きながらに消すことだ。だがそれではわたしは何も残せやしない。死にながら生きるのはまっぴらだ。」
「あなたにもじきに分かるって、それだけですか。わたしはどうすればいいんだ。だがわたしは決してあきらめない。あなたから教えを頂くまで、そして、わたしがこの谷底から這い上がるその日まで、先輩として、あこがれの人としてあなたに食らいついてみせる。そうやってあなたはいつも笑っておられる。あなたには、わたしが死んで見えるのか、それともまだ生きて見えるのか。それだけでも、、、いや、また来ます。」

巨大なアリが攻めて来た。

谷底はわたしの人生の試練かも知れない。

明るさの中に光はない。

暗闇と悟る事で光は見える。

狂い続けなければ不安だ。

何もかもを忘れてしまいそうだから。

「だから言ったでショ、

私なんザぁとっくの昔に死んでんだからサ。いまさら四つんばいになって腹ばいになっても、生きて帰ってはこれないのさ。あんたも今のうちにほら吹きの練習でもしときな。われよいしょ、かれよいしょ、遠くの小船の空騒ぎだに、赤く騒いだレモン色ってさ。」

「ボクは船乗りになりたいんです。

だからヨットを貸してください。」
先生は無言で笑い飛ばし、ボクの首輪を持ち上げた。
「さァ、白状しなさい。あんたは他に目的があってここに来たんでしょがァ。うごうご言ってないでさっさと吐き戻しなさい。」
 ボクは言われるがままに先生の足元にひさまずき、言った。
「ボクはソフトサディズムです。どうぞボクをSMしてください。」
先生はボクを、トゲだらけの鞭で力強くしかってくれた。
 とってもツンデレで、気持ちよかった(まる)