はるのぶのつれづれ

幼女の子宮で泳いでいた頃の記憶

ひとりごとならべ(2012年9月19日)

「加藤は私の砂時計だ。」
「意志のない生活は崩れる。」
「生きるという言葉を狭義に解してはならない。」
「彼は言葉ではなく暴力を学んだ。」
「資本自体が一つの権力であり、抑制されなければならない。」
「威圧的な記号である。」
「美化するのは、対象がマイナスの存在だと暗に思っているからだ。天使とか、やりがいとか、純潔(!?)とか。しかも当事者の中にも自らを美化する奴がいるからややこしい。私の息子は天使ですって、馬鹿ですか。」
「近代を通過し損ねた国。」
「日本人は明治維新によって(列強に半ば強要された近代化によって)、真に自立した個人を生み出す機会を失った。」
「『普段は無表情で、感情表現が素直にできない。しかし、特定の人にだけ心を開く。本音を吐露する。本当は自分を理解してほしい。人と繋がっていたい。自分を承認してほしい。(綾波レイの)そんな屈折した姿に、彼はシンパシーを抱いたのではないか。』(中島岳志著『秋葉原事件 加藤智大の軌跡』より)」
「失業者にとって、苦労人の成功話ほど有害なものはない。そんな真似のできない話で誤魔化されては困る。失業者はあくまで人並みの生活を求めているのだ。」
「試しに聞いてみるがいい。あなたならそんな苦労を背負いたいですかと。」
「『しかも加藤は、母の「教育」の影響で自分の思いを相手に伝えることが極度に苦手だった。彼は言葉による直接的な伝達ではなく、行動による間接的な伝達を繰り返した。「本音」をぶつけることへのトラウマと恐怖が、心のどこかに潜んでいた。』(中島、前掲書)」
「加藤が掲示板に書いたレスは彼が語っているほどにはネタ性がないだろう。『本音のネタ』は演出を加えてはいるがあくまで彼の心にある本音である。彼は演出を加えることなしに自分の思いを相手に伝えることができなかった。書き込みのなかで我々が共感した部分、すなわち身分の不安定さへの不安や容姿へのコンプレックスについてのそれは彼の偽らざる思いである。」
「そう考えるのは、今後も彼を我々の代弁者として捉えようとしているからかも知れないが、素の言葉による本音の伝え方を知らない者は、(リアルの世界で)態度によって分からせるか(文字交換の世界で)言葉を過剰演出するかでしか伝えられないだろうからだ。」
「彼が本音をあくまでもネタとして心の奥に抑圧しようとしているのは、身分や容姿への否定的自己評価を認めたくないからだろう。彼には、その気になれば手に入れられたであろう学歴や中学生時代に二人の女性と交際した恋愛経験がある。それが彼のプライドを辛うじて支えているのであり、自己評価を肯定的方向に反転させているのである。」
「こんなはずではないという自己評価が彼の本音をネタとして変換させているのである。」
「彼は一度も素の言葉を語ることなく、自分の意思表示のパターンへの言及によってそれに代えようとしている。強いて言えば過剰に演出された言葉が残されたのみである。」
「彼が自らのネタに対して言えることは、そこまで不安定ではない、そこまで不細工ではないということだ。」
「加藤は静岡時代に同僚と五人でカラオケに行ったことがあるが、掲示板では一人で歌いに行ったと書き込んだ。友達が少ないということをアピールしたかったのだろうが、本音を語れる本当の友人がいなかったことを図らずも吐露してしまったのである。」
「抑圧された本音が人を殺したいという願望に転換したと解すればいいのだろうが、どうも釈然としない。」
「彼はドライバー時代に居酒屋を経営する先輩に涙を見せたことがある。これがリアルの世界で彼が見せた本音の精一杯の吐露だった。」
「彼は仮に彼女ができたとして、または本音を語れる友人ができたとして、何を話すつもりだったのか。そのことについて彼は何も語っていない。」
「彼は居酒屋を経営する先輩に夢を持っていると話したことがある。それこそが心を開いた後に話すつもりのことだったのではないか。」
「加藤はキレやすい半面、人に合わせるのが上手かった。(だから一見すると社交的だ。)しかし打ち解けられる友人は出来なかった。」
「『それは、世の中からたったひとり、取り残されたかのような感覚でした。マジックミラーごしに世界を見ているようなものです。私から見えている相手には私が見えていない状態、私の頭の中にいる人の頭の中には私がいない状態であり、孤立への恐怖の始まりでした。』(加藤智大手記『解』より)」
「加藤の派遣労働観『そもそもハケンはただのお手伝いなのであり、正社員もハケンも関係無しに会社のために頑張ろうとしていた私がおかしかったことに気づきました。』(加藤、前掲書)」
「加藤は仕事熱心な男だったが、正社員に『派遣のくせに』と言われたことをきっかけにこの派遣労働観を内面化していった。しかしその過程では抵抗もあり、事実彼はこの言葉をきっかけに職場を辞めている。」
「私は自らがエゴイストであることを知らずに大学を卒業し、不安定な身分に由来する様々な問題に悩まされてきた。」