はるのぶのつれづれ

幼女の子宮で泳いでいた頃の記憶

(引用メモ)韓国ドラマ「王と妃」より(2014年3月22日)

「『王と妃』四巡目。癸酉靖難前夜。」

「王と妃」第27話より

イ・ヒョルロ:風水というものは天と地が調和をなすことも大切ですが、何より重要なのは人性です。
安平大君:何が言いたい。
イ・ヒョルロ:大君様。大君様は水のような気質をお持ちです。水は森を育みますが、自ら何も作り出しません。
(中略)
イ・ヒョルロ:君主が寛容さを示せば、臣下は陰で君主の軟弱さを嘲笑うもの。己の不正が罰されずに済むからです。過ちを犯した者が許しや情けを請う時にこそ、寛容さが意味を持つのです。ですが大君様は、最初から寛容を示そうとなさっている。これでは計画を成功させても、君主の座を守るこてはできません。首陽大君を始末し目的を成就した暁には、キムも殺さねばなりません。そうすれば誰もが大君様にひれ伏すでしょう。

「王と妃」第27話より

ハン・ミョンフェ:どんな手を使ってでも殿下に謁見し、イを地方へ飛ばすべきです。
首陽大君:謁見する方法がない。
クォン・ラム:手遅れでは?イがいないからと計画を中止はせぬはず。
ハン:二つの利点があります。大君様がイ・ヒョルロを地方へ飛ばそうとすれば、彼らは計画が気づかれていないと思い安心するはずです。またイ・ヒョルロがいなければ、安平大君はまったく動けぬはずです。ですから挙兵するには、イ・ヒョルロの排除が先決です。
クォン:安平大君より先に挙兵するのか?
ハン:その方法しかない。
クォン:挙兵するにも人がいないではないか。
ハン:かえってその方がいい。大君様。彼らはこう考えているでしょう。もし計画に気づかれたとしても、大君様は何もできぬはずだと。それゆえ、これ見よがしに武器を城内に運んだり武渓精舎で昼間から私兵を訓練させているのです。また殿下は寧陽尉宅におられるので、謀反が起きたとしても知る術がありません。
クォン:だが挙兵するにも少なくとも数十人は必要だ。
ハン:大君様がある人物さえ始末すれば成功します。
首陽:キム・ジョンソのことか?
ハン:左様でございます。
首陽:・・・
ハン:どうなさいますか?
首陽:ならば始末せねばな。
クォン:無謀でございます。
首陽:他に方法がない。
クォン:殿下に申し上げ・・・
ハン:何を言うのだ。そうすれば真っ先に殿下が殺されるぞ。
クォン:・・・
ハン:配下に信頼できる剛の者がおります。10月10日(安平の挙兵予定は10月15日)に兵を挙げましょう。それまでは絶対秘密に。そして当日人を集めるのです。大君様が説得なされば、きっと多くの者が大君様に従うはずです。ただ一つ気懸かりなことがあります。私のこの計画はお粗末なものでございます。まかり間違えば大君様は命を落としかねません。
首陽:ミョンフェ。私は死など恐れておらぬ。安平は殿下を殺害し、王位を奪おうとしているのだ。殿下を守れぬのなら、死を以て償うしかない。
ハン:面目ありません、大君様。
首陽:涙もろいのは私だけかと思ったが、いつも冷静なそなたも涙を流すのか?

「王と妃」第29話より

オム・ジャチ:同副承旨様ですね。
(シン・スクチュ、やや驚いた顔で声の主を見る。)
オム:大殿内官のオム・ジャチです。
シン:殿下の笑い声に気をとられていた。
オム:首陽大君はお元気ですか?
(スクチュの足が止まる。)
オム:首陽大君は思惑がおありの様子ゆえ申し上げます。
シン:(振り返って)何か勘違いしている。
オム:宮殿の外は制圧したとしても、宮中はどうなさるのです。
シン:何の話だね?
オム:ここには数十人を越える内人がいますが、皆異なる主人に仕えており、殿下を守れる者は少数です。
シン:そなたは誤解している。
オム:私が殿下をお守りします。
(スクチュは真顔になる。)
オム:大君にお伝えください。私が殿下をお守りするゆえ、事が成功しても私を殺さないでくれと。
(キム・ヨン登場。オム・ジャチはシン・スクチュに顔を近づける。)
オム:(小声で)頼みましたぞ。

「王と妃」第29話より

(真夜中の書斎。月の光が差す。首陽は思いに耽っている。)
イム・ウン(執事):ハン・ミョンフェ様がお見えです。
(首陽は黙っている。)
イム:大君様。
首陽:通せ。
(書斎に入るハン・ミョンフェ。蝋燭が一本灯っている。)
ハン:今日は10月9日です。ご存知ですね。
首陽:座りなさい。
(ハンは座り、首陽の目を見る。)
首陽:なぜ今まで来なかった。
ハン:書き物をしておりました。
(首陽は予期していたようにハンを睨む。)
ハン:文臣の端くれですが、久しぶりに筆を持ちました。
(ハンは懐から帳を取り出し、首陽の文机に置く。表紙には「生殺簿」とある。首陽は黙って表紙を凝視している。)
ハン:心身を清めてから、精神を集中して書きました。
(首陽は表紙をめくる。「キム・ジョンソ」と書かれている。ハン・ミョンフェは目を閉じる。もう一枚めくる。「ファンボ・イン」と書いてある。)
首陽:一人で十分ではないか。ファンボは・・・
ハン:殺すのです。
首陽:日和見なだけで・・・
(ハンは目を開いて言う。)
ハン:彼は領議政です。国政の最高責任者です。ファンボを殺さねば挙兵の名分が立ちません。
(再び目を閉じるハン。首陽はもう一枚めくる。「安平大君」と書かれてあるのを見て、怒ったように生殺簿を閉じる。ハンは目を閉じたまま話す。)
ハン:殺さねばなりません。
首陽:彼を殺す必要はない。
(ハンは目を開く。)
首陽:私に従え。
ハン:イ・ヒョルロが都落ちする前に生殺簿を書いたなら、大君様の名前が筆頭でしょう。そして二番目がキム・ジョンソのはずです。
(首陽の顔には依然として怒気が籠もっている。)
ハン:大義のために殺すのです。大君様は大義のために挙兵を望んでおられるのでは?

「王と妃」第30話より

(生殺簿が開かれている。首陽大君は「安平大君」の文字を凝視している。)
ハン:殺さねばなりません。
(首陽大君の顔は怒気に満ちている。)
ハン:安平大君を殺す理由は五つ以上挙げられます。謀反を企てたこと。大君様を殺そうとしたこと。人の道理に背いたこと。派閥を作り国政を乱したこと。不正腐敗の根源であること。
首陽:(怒りが噴き出たように)ミョンフェ。安平を殺す理由が五つ以上ならば、殺してはならぬ理由は百以上もある。
ハン:大君様。
首陽:これは認められぬ。
(沈黙)
首陽:次をめくってくれ。
ハン:一つだけお聞きします。
首陽:(やや冷静になって)言ってみよ。
ハン:安平大君を殺せぬのは、情ですか。体面ですか。
首陽:・・・
ハン:兄弟の情でためらうのなら、一人の人間としては成功なさっても統治者にはなれぬでしょう。権力と人情は火と水のようなものです。権力者が情けをかけると法と正義は乱れます。情け深い者が権力を握ると腐敗がはびこります。それゆえ諸葛孔明は息子同然の馬謖を斬り、軍紀を正したのです。もし大君様が体面を重んじ弟君を殺さぬのなら、かえって己の顔をつぶすことになります。キムとファンボを殺し安平大君を生かせば、国家百年の大計よりも王室の体面を優先したと人々に言われるでしょう。
(首陽大君は少し落ち着く。)
ハン:大君様は一身の栄華のために挙兵なさるのですか?挙兵を決心なさったのは、奸臣と逆臣どもをすべて排除し強固な国を築き上げるためでは?
首陽:(話を遮るように)次をめくってくれ。
ハン:大君様。
首陽:太宗は王位に就くため多くの血を流した。兄弟や忠誠を捧げていた側近までを殺し、その血が川となるほどだった。その傷跡がまだ残っているのだ。
(ミョンフェは無言で応える。)
首陽:私が王室の威厳を立て直す理由が分かるか。民を権力争いの巻き添えにしたくないからだ。わが国では建国後権力争いが三十年も続いた。その間の民の苦しみが分かるか。父の世宗大王には一日も気の休まる日がなかった。いかに民を幸せにするか常に悩んでおられた。その苦労の末泰平の世を築いたのに今その土台が崩れているのだ。
(ミョンフェは首陽大君の目を見る。)
首陽:キム・ジョンソを忠臣と呼ぶ者もいる。王子たちの権力争いから幼少の殿下を守る姿は忠臣と呼ぶにふさわしいが、一方で国事を掌握し権力を乱用している。キムを一面的に見てはならぬ。彼こそ権力の化身だ。私はキムにその責任を問うているのだ。一方で私が兄弟に手をかけるのなら、安平一人だけで済むはずがない。太宗がそうしたように、兄弟を皆殺すことになりかねぬ。次をめくるのだ。
(「ミン・シン」と書いてある。)
首陽:次を。
(「イ・ヒョルロ」)
首陽:友を殺すのか?
ハン:イ・ヒョルロは、殺されても私を恨まぬはずです。
首陽:どうしてだ。
(ハンは不敵に笑う。)
首陽:次をめくれ。
(「チョ・グックァン」。続いて「イ・ミョンミン」。)
首陽:閉じてくれ。
ハン:大君様。
首陽:何度考えても殺すのはキム一人で十分だ。
ハン:大君様は、兵を挙げる前から寛容を示すおつもりですか?
(ハンは生殺簿を一枚一枚めくり続ける。)
ナレーション:生殺簿。燃藜室記述によるとハン・ミョンフェが作成し首陽大君に見せたという。ハンの手に権力者たちの生死がかかっていたのだ。

「王と妃」第30話より

(ミョンフェは生殺簿を焼いている。)
クォン:ミョンフェ。
ハン:来たのか。
クォン:キム・ジョンソも殺すのか?
(ミョンフェは無言で応える。)
クォン:彼を殺すと民に支持されぬぞ。
(ミョンフェは火を見つめている。)
クォン:一体どれだけの人を殺すつもりだ。
ハン:大君様の妨げとなる者は皆始末せねばな。
(クォン・ラムは絶句する。)
ハン:“人面獣心”という言葉がある。私は人の面をした獣の心で、朝を迎えるつもりだ。
(クォン・ラムは首陽大君の部屋に向かう。)

「王と妃」第30話より

クォン:人を殺さずとも挙兵は成功するでしょう。
(首陽大君はクォン・ラムと目を合わせられずにいる。)
クォン:殿下に彼らの謀反を告げ、捕らえればいいのです。
(首陽大君は顔をそむける。)
クォン:教えてください。大君様もミョンフェと同じ考えですか?
首陽:(ようやく顔を見据えて)そうだ。
クォン:血は血を呼ぶものです。仮に挙兵が成功しても、大君様は一生罪悪感に苦しむでしょう。
首陽:殺さずに済む方法を考えなかったわけではない。殺さなくとも罪に問うことはできる。だが考えてみろ。挙兵をするにしても、私に従っている者は僅かしかおらぬ。これではまるで、崖にぶら下がる者が命綱を持つ者に戦いを挑むも同然だ。
(クォン・ラムは唇を噛んでいる。)
首陽:すでに死は覚悟の上だ。
クォン:もしも、キム・ジョンソが大君様に従ったら?
(首陽大君は無言で応える。)
クォン:キム・ジョンソが大君様と手を組むと言ったら、彼を生かしますか?
首陽:キム・ジョンソは、誰よりも私の死を望んでいるはずだ。
クォン:ですから私が左議政(キム・ジョンソ)に会って、大君様に従う意向があるか確かめます。
(首陽大君はクォン・ラムの目を見ている。)
クォン:それが忠臣を殺す際の筋かと。

「王と妃」第30話より

イ・ヒョルロ:(月に語りかけるように)ミョンフェよ。私たちのどちらかは、必ず殺されるだろう。それを考えると眠れぬ。お前が死ねばお前のために泣いてやる。私が死んだら、私のために泣いてくれ。