はるのぶのつれづれ

幼女の子宮で泳いでいた頃の記憶

卒塔婆詩(そとばぽえむ) 第4回

生きる道を間違えたのか
一人になる時が怖い
お迎えに来られる方がたにどうお詫びを言おうか
考え込むのは一人の時だ
誰にも見られないからつまらないことでも考える
とりあえず生きてきましたという答えさえ
今では自慢の種となるだろうに
まだ足りないと思いに耽る

パンダグラフ人間という生活の特徴は
頭に電気を受けて走ること
欲しいだけ食べるから死にはしないし
たまに意識が吹っ飛んじゃうだけ
有機体の証明より性に合うのは走ること
街に出る時は次の行き先だけ考えている
この間まで失業者だった
今は俺のために線路まで作ってくれて
子供たちが笑いながら乗り込んでくる
毎日働けば死ぬことはないし
次の行き先はさて
車掌に聞くか

人間は私ひとりになったようだ
それともそこにいるあなた
心あるあなたがた
付加価値を振りかざせば人は死ぬ
そういう連中に囲まれて私ひとりを問いつめる
ええ
私は何も間違っておりません
歳が来たから動くのではなく必要があるから働きたい
こんなことも理解できないほど人は退化してしまった
付加価値を人に求める者が虚妄を抱いて人を忘れる
そして毎日人を追いつめて殺す
人を殺す者はその自覚さえない
悪意のない殺人者に囲まれて
人が消えてゆく

誰かに似ている人から急に話しかけられて
言葉につまる
あなたは中田さんに似てますねと言うと
さっさと去っていった

からの吹き出しが大きく大きく膨らんで
持ち歩くのさえ一苦労
どこかで人に会うという稀な行動のために
携帯だけは忘れないでおいたが
季節がらどうもふやけきって湿っぽい
人は多くても会う人の少ない街
無言の吹き出しが綿飴よりもっと大胆な驚きでした
膨らんで膨らんで空にのぼって雲のように
今こそ感嘆符が必要なときに
吹き出しはもう掴めないほど高く
大声を上げたい衝動が雨になって私を濡らす
そうか
ずっと何も言わなかったから
心のほうが膨らんで先に出ちまったか
いきなりだからずぶ濡れで遅いけど
傘だけコンビニに寄って差して帰った

扉しかないから未来の多そうな壁
ええ行き止まりでした
扉の向うに扉扉
右も左も扉扉
ドアノブを回すさえもはや面倒で
アルミの色にも嫌気が差してきたから
体ごと突き破りたい怒り
出口はどこだ
せめて元の場所に帰りたい
今日も右左前うしろ
アルミ色の扉と戦っている