はるのぶのつれづれ

幼女の子宮で泳いでいた頃の記憶

卒塔婆詩(そとばぽえむ) 第12回

処女を裸にするため 俺は
精一杯の嘘をついてきた
人の心を色分けしたのもそのためだ
その甲斐が今
処女と一緒になることで報われようとしている
本当は正しい人間なんていない
処女という偶像を作り上げることで
自分と
仲間と
処女を騙してきた
それでよかったのだ
さあ処女よ
君も本当は人間だ
外見の美しさでは補えない人間だ
だから醜い者同士
抱き合わないか
選ぶ選ばないなど偶然だ
生まれもただの偶然だ だから
俺達は疲れていた
聞く気もない者たちに向かい散々騒いできた
聞く気のある者には罪の観念を与え
自問の世界へ押し込んできた
楽しんだ者が勝つ世界で道連れを増やすため
処女と童貞を意図的に増やそうとした
人間が外見で動かないはずはない
人の形をした魑魅魍魎
それが人間だ
人間は己の本質を知っている
内なる汚れを本能的に悟っている
差分はただ外見にのみ残された
それが人間を動かす動因である
人は己の醜さを知る故に外見に走り
成功した者は内なる美を誇ろうとする
「美しい者は内面も美しい」
それが越権だった
人として越えてはならない一線だった
「美しいのは見た目だけだ」
人として明確にしなければならない一線 そこに
俺も含まれていた そして
偉さの僭称に対抗するための正しさの創設
それが処女崇拝だった
選別に敗れた男達の求心力を集めた処女
とただの人間が崇拝されている奇観
と信者同士の秩序
は平等思想として形成された
(「平等の敵に自由を許すな」と叫んだのを思い出す)
彼女を持つことは
生まれながらの差を実現化し
選別により新たな犠牲を生み出す
処女は生まれに対抗するための装置であり
神聖さを覚えさせ罪の意識を生み出した
“処女は宗教の原始型である”
処女は何を思う
頼まれた覚えはない
知らないうちに吹き込まれ
持ち上げられていた
ただ自分を見上げている男達は
私の興味ではない
そんなことを言わないでくれ
そう叫んだのは誰だ
君が処女でいてくれるのは・・・
誰のためだ
処女は少女期の終焉と共に去った その
彼女がいま目の前に居る
俺達の作り上げてきた神輿に
知らず知らず腰を下ろしていた処女
あるいは罪の観念を内面化していた処女
正しい人間とは形容矛盾ではないか
むしろ欲に素直になったほうがよかったと
私に訴えかけている
怒らないでくれ
私は自分の人生によって今までの行為の弁護を試みようとしている
君はどこに行く積りだ
外は楽しんだ者で溢れている
(もう間に合わないさ)
それよりここにいるしかないんじゃないか
崇め立てた本当の理由は
自分達と同等の経歴を持つ人間を増やすこと
恋愛の自由を実質的に制限することで
事実上制限されている者と同じ目に合わせること
寂しい思いを味わわせること
そのほうが生まれを後悔させられないで済む でも
本当のことを言うと逃げられるだろう だから
結婚まで処女であり続けた君を崇めなければならない
半信半疑の宗教を唱えることで
処女と童貞はこうして結び合わされたのだ

追記(6月26日):

下手な詩を読むときのポイントは、行と行の音律を無視することだ。
そう、ここみたいに。