・
処女が燃え尽きるとき
イカロスの翼は光を失い
俺は失われた女を求めて歩き出す
・
君は終わらない夏に閉じ込められている
灼熱の炎に包まれた・・・
今 犬の鳴き声が聞えなかったか
(母が呼んでいる)
五百円玉を落としたから拾ってこいと
分かったよ ところで何かを書く積りだったんだが
・
園児は合体に咽んで泣き叫ぶ
ここが家族なんだよと
届かない家を求めて辿り着いた場所
それが男の股間だった
いつまでも園児
記憶から脱け出せないで遠くなる今日
忘却の営みに生きて
一人声を上げる
・
過剰に防衛された自己を
一枚一枚剥ぎ取ってゆく
母の愛の幼い頃からの積み重なりで
私は生まれた
脱ぎ捨てた記憶に手を伸ばす時
必死に払いのけようとする何かに気づく
内なる声が立てと叫ぶ
単独者の荒野に
一枚目の自己から始まる
・
使い回しの練炭
使い回しの棺桶
使い回しの統計
・
回収済みの時計が気になりだして止まらない
・
モノクロームの郵便局に抱きかかえられたツバメ
・
サンドイッチマンに流される
・
何人か小舟で何かを囁く
今日は海の生誕の日
・
幼女にエロスを奪われた女たちの矛先は
男たちの崇拝物に向かい
代表的な幼女を保護と偽り追い払う
・
まいんちゃんのお弁当を食べている
そういう設定の病院に入って一年
依存症から脱け出せない
・
幻想はすなわち幻滅である
幻想は仕掛けられた死である
滅びに至る門は広いとイエスは語った
元に戻るための道は
かつて歩いたはずの広い道路
それが見つからない
恋心に絡んだ幻想は
男達の女性像を深層心理から呼び起こす
現実の女性が永遠に届かないのと同じように
理想の女性は永遠に幻滅を許さない
ただ信じるのに疲れた時
女性そのものを求めることを止めた時
それまで費やした時間を犠牲に
男達は正気に返る
・
明日も朝が散ってゆく