はるのぶのつれづれ

幼女の子宮で泳いでいた頃の記憶

卒塔婆詩(そとばぽえむ) 第21回

青褪めた地平線の向うに
私の住むべき湖がある
だからもう行かせて欲しい
ここは温か過ぎたから
眠り尽くしてもう眠れない
向こう岸まで歩いてゆくよ
ありがとう

氷の棺を抱いて眠る

ムンバイの象牙

降り積もる雪のかけらが
仲睦まじく溶け合って
結ばれた水の精

私が生きていないと思うと
この国は少し寂しい

私が箱を作るから
中で自由になりなさい

真夜中に願いを込めて
体が欲しいと書いた短冊

絞首台に風の花びら

風に向かって同じことを叫ぶ

人間に恋を教えないで欲しい

拒絶の投影

全ては現実でしかなかった

処女が始まる頃
全てはもう古い

オートメーション化された自由

街中の魚が腹を向けて流れ去って行く

そういう時こそ紫陽花が枯れることなく美しい

窓辺の雪にさよならを告げる

取り押さえられた白墨

砂に埋もれた砂時計

嘆きを反芻する

二枚三枚五枚と板を重ねて
やっと息ができる

安部公房箱男」を読んで

箱の中に男がいるとは限らないが
インポテンツだから箱を使わないではいられない

棺桶が泣いている
呻き声を上げている
きっと誰かの孤独が染み付いて
消えなくなったすすり泣き

赤い小麦を抱いていた娘を知らないか

ネズミの上に牧場の血が鳴る
紫の地平線を背景にしとしとと
夕暮れの街を去る

人を埋めて歩いたから
神様も遊びに来てくれない

ラクリ御門の変

蟷螂の腕をもいで頭に付ければ
万能細胞のように大きくなると聞いたが
蟷螂の腕として今も頭に生えている

血まみれの空港に岡本がいた

卵で割れそうな壁

雨雲がシャーベット状に覆われている

少女は紙風船爆弾と呼ばれていた

乾き色のクシャミを垂れる

頭の中が妙にスッキリしている時は
何か未来を掴んだような思いがする

近況:

詩というより雑感になった。いつものことだが。
今月中に引っ越す予定。