はるのぶのつれづれ

幼女の子宮で泳いでいた頃の記憶

ひとりごとならべ(2012年6月30日)

「34歳の伝言」
「流刑されて十年」
「日付のある舞台」
「小さな人たちが出入りする窓」
「祖国に帰還して十年。ここのどこが楽園だ。」
「体は変えられるけど、馬鹿は直らないぜ。」
「日溜まりが来る」
「蛆の大群は頭のない群集そのものだった。」
「私が生まれる前から私の人生は始まっているのだ。」
「実のところ私はあの蛆虫を毛嫌いしているのか、嫉妬しているのか分からないでいる。」
「私は蛆虫のように生きたいのか。」
「たったひとつのしあわせがほしい。それだけだ。」
「その幸せに届かないでいる。」
「私が若く見えるのは所帯じみていないからだ。」
「となりの人の幸福が辛い。」
「洗い流される世界の埠頭に立つ。」
「私は科学者としての、技術者としての自己を認めたくなかったのだろう。人を殺しうる宿命をもった体系を維持する媒介としての自己を。会計学も不当な可視化を推し進め、人の命を奪うことにつながっているではないか。暴きすぎているのだ。」
「自己否定を装った他者否定。それは死なばもろとも。」
「池の水に恋をした。」
「朝は無理をしてでも余裕を持ちたい。」
「『聡明で、なにもかも心得ていながら口にださず、おっとりかまえているといった人物像は安定期の太宰のあこがれた理想像であった。こういう人物はかならず現実では敗北するのだが、その敗北はよく心得た敗北であり、もし人間性に底しれない深い淵のようなものがあるとすれば、真にそれを洞察できる人物は、こういう敗北を、あるいは敗北と感じないかもしれない。』(吉本隆明源実朝』より)」
「つぶれそうな胸に君の声が聞こえる。」
「あの猫の死骸は月曜の朝はそのままあの場所にあった。すでにミイラ化が始まっており、骨がはっきり身に浮き出ていた。皮膚の色はより黒ずんでいる。雨に打たれたせいか蛆虫は力を失っている。数は一目で減っているのが分かる。死骸を這うスピードが明らかに落ちている。先日のような生命力にあふれた勢いのよさはなかった。蝿は一匹も確認されなかった。」
「帰りに同じ場所を見るとすでに死骸は回収されていた。抜け落ちた毛皮が亡骸なき後もそれを縁取るように存在感を持っていた。蛆虫も蝿もいなかった。死臭が鼻をついた。名状しがたい匂いだった。」
「無自覚な大衆を蛆虫と呼んでいる。その蛆虫に嫉妬している。」
「私は私をあらしめる共和国を創ろう。」
「テレビは美男美女ばかり持て囃されます。私らは周辺におります。テレビ的な世界観を真に受けている人たちの間に入り込むと何とも言えない物悲しさを覚えます。」
「彼らは幸福な日常を維持したがっているだけだ。」
「幸せな人間は自分の黒歴史を消したがる。だが黒歴史を暴きたがる者たち自身の黒い悲しみはいかなる技術によっても消せないのだ。」
「後ろの兄ちゃんが小便中に屁をこいた。鏡と鏡で目が合った。」
矢車菊の摘み方」
「口が滑るって恐いよな。思ってることをつい言ってしまうから。」
「私の沈黙牲」
「気紛れにも程がある。」
「あのとおり、このとおりなのです。」
「生まれる前の人間は沈黙していたはずだ。」
「世間話などさっさと終われと思いながらやり過ごす。」
「仮にそれが男の自我であるとして。」
「ゆびは青いぴすとるのように静まり。」
「意識されているうちが花だ。」
「生きるために生まれた私ならば、すなわち自らの壁を越えなければならない。」
「最初からそういう開き直った関係がしたい。」
「こればっかりは色々あったとしか言いようがないのです。ごめんなさい、あまり多くを語らなくで。」
「何であんな女を好きになったんだ。」
「泣くことさえ馬鹿らしい。」
「一回懲りているから感情の扱いに慣れている。」
「何だろう、この身に余る屈辱は。」
「それなのに、忘れられそうにない。」
「向こうから言われるまで、じっと待っておきなさい。」
「人気のない公園で用をたす。」
「敗北者の運命を甘んじて受け入れるべきなのだろう。」
「男が女を好きになるのだから結果的には“問題”がないのだが、私の性的感性のうちにあるレズビアン的部分が敢えて彼女を好きにさせたとしか思えない。私の好みとしては、むしろ隣の課のアルバイトのほうが合っており、なぜ彼女を好きにならなかったのか自分でも不思議なのだ。彼女は眼鏡がよく似合って可愛く、また美しさも兼ね備えている。会話のリズムも合うし、教養もある。そして仕事中に見せる表情が時折柔和で優しい。一言でいえば理想の女性だ。にも関わらず好きにならなかった。それは先の彼女の与える印象が鮮烈だったからだ。」
「資本家の手先にはなるまいと思い就職活動をしなかったのだ。これくらいの寂しさは覚悟の上じゃないか。終生独り身で上等だ。人生の伴侶を見つけられたら儲け物だと思うくらいでいい。」