はるのぶのつれづれ

幼女の子宮で泳いでいた頃の記憶

(メモ)引用・書評欄など(2012年8月5日)

「今回は新聞の印象に残った記事を抜き書きした。ほとんどが書評欄なのは、興味がおのずとそこに向いているからだろうか。」

「プンサンケ」チョン・ジェホン監督インタビュー「運び屋がわらう南北分断」

(読売新聞2012年8月3日「ヨリドリCINEMA」)
「プンサンケが自分を裏切り、翻弄した両国(韓国・北朝鮮)の情報員らを密室に閉じこめるシーンがある。プンサンケは小窓から武器を投入する。初めは拳銃、次はライフル、さらには手投げ弾・・・。武器を奪い合い、銃口を突きつけて威嚇しあう姿は、どこか滑稽に映る。『お互いが武器を捨て、一緒に外に出る方法を話し合うことの方が合理的だ。だが、そんな簡単なことができないのが現実でもある』」

「書評」ヴァンサン・デュリュック著「レ・ブルー黒書」

(読売新聞2012年7月1日)
「所属するビッグクラブでは従順な億万長者従業員を演じながら、国を背負う時にはエゴを主張する選手たちの傲慢。政権が長期化し、磨耗した監督の統率力。代理人が暗躍し、阻害されるコミュニケーション。ジダンらワールドカップ制覇組の隠然たる影響力と、彼らに対する嫉妬。人事をめぐるすさまじい権謀術数。協会の危機感の薄さと無関心。そこには現代世界を蝕む要素が多く含まれていた。事件は偶発的に起きたのではなく、崩壊の兆しは早くから表れていたのだ」(評:星野博美氏)

追悼抄・邱永漢さん

(読売新聞2012年7月1日)
「『自分は十字架を背負っている』が口癖だった。台湾人に生まれたがゆえの差別体験。「マイナスを補うために人の何倍も努力した。それが結果としてプラスになった」(藤野彰・北大教授)

五木寛之氏インタビュー「自分の中の悪」現代に問う

(読売新聞2012年6月29日より)
「そして、徹底して人間の底にある「悪」の要素を見極めようとした親鸞の思想は、『現代人が抱える不安と重なる』と、五木さんは語る。『科学技術で自然を利用し尽くし、深刻な環境破壊を招いている。ルネサンス以降の人間中心主義で、疑いようもなく善、とされてきた文明の発達が問い直されている。世界はこのままでいいのか、という思いが広がりつつあります。』だが、一見、悲観的に見えつつも、この世界を決して否定しようとしないのが親鸞の姿勢だ。『ナチス強制収容所を生き延びて、後に『それでも人生にイエスと言う』を著した精神科医、V・E・フランクルに近いですね。』」

著者来店「哲学者クロサキの哲学する骨董」黒崎政男さん

(2012年7月8日読売新聞)
「『十数年探し続けて手に入れたものもあれば、手放したものの、未練が断ち切れずに買い戻したものもある。収集品には、思い出がぎっしりと詰まっている。』」(奥田祥子記者)

読売新聞2012年7月15日

プーチン大統領は9日、外国駐在の露大使を集めた会合で演説し、欧米による(シリア)紛争介入を『人道作戦と称したミサイル爆撃による民主主義の輸出』と批判。安保理決議案採択でロシアの棄権が事実上、欧米による介入に道を開いた『リビアのシナリオ』を、シリアでは繰り返させない決意を示した」(寺口亮一記者)

「書評」近江俊秀著「道が語る日本古代史」

(読売新聞2012年7月22日)
「それにしても、九州自動車道長崎自動車道と古代の西海道とが、そのルートばかりか、インターチェンジと駅の場所までがほぼ一致するという事実には驚かされた」(評:三浦佑之・立正大学教授)

「書評」リュミドラ・ウリツカヤ作「女が嘘をつくとき」(新潮クレスト・ブックス)

(読売新聞2012年7月29日)
「産んでもいない子供の話、いないはずの兄の自慢、ティーンエイジャーは起こっていない恋愛沙汰を語らずにはいられないし、不運の老教授は詩人のふりをして若者の心を奪う。どれも何らかの欠落から生じていることが察せられ、嘘を物語と言い換えることもできる。でも騙る本人は自分がなぜ騙るかをたぶん知らないのだ。「自分の物語を生きる」といった自意識とは一切無縁のまま、野放しの想像力に心を任せている」(評:作家 湯本香樹実氏)

「書評」B・チェイス=リボウ著「ホッテントット・ヴィーナス」

(読売新聞2012年7月15日)
「『ホッテントット・ヴィーナス』と呼ばれた彼女は死後に解剖され、骨格やホルマリン漬けの生殖器を、1970年代半ばまでパリの人類博物館に展示され続ける。(中略)王立植物園に閉じこめられた鳥たちを逃がし、「所有こそが盗み・・・鳥は自由です」と博物学者に反論するサラ。医者らで満席の階段教室で、「裸であることを感じさせない目をしていたのはあなただけだった」と若い芸術家に語り掛けるサラ」(評:尾崎真理子・読売新聞編集委員

「書評」リチャード・P・ルメルト著「良い戦略、悪い戦略」

(読売新聞2012年7月29日)
「本書が説く「良い戦略」とは、行動に直結する戦略のことであり、「悪い戦略」とは、実行が難しい戦略のことである。だから、「矛盾する目標を掲げたり、関連性のない目標にリソースを分割して配分したり、相容れない利害関係を無理に両立させようとしたりする」のは、どれも悪い戦略なのである」(評:ビジネス書評家 土井英司氏)

「例え話」はお笑いと一緒

(読売新聞2012年7月15日「ビタミンBOOK」)
「そんな僕が手に取ったのは築山節著「脳が冴える15の習慣」(NHK出版)。中でも興味深かったのは「例え話」には脳の高度な働きが必要であり、普段から意識して例え話をすると脳が鍛えられるという点。僕の周りにも例え話が好きな人は少なくない。若手の頃に出演していたライブの演出家もその一人で、なんでも「お笑い」に例えるのを好む方だった。マラソンの話をしていると「お笑いも一緒だよ。ペース配分が大事なんだ」と言い、釣りの話をすれば「お笑いも一緒だよ。どの魚をどの餌で釣るか考えなきゃ」となんでもかんでもお笑いに例えてしまう。(中略)少し行き過ぎた部分もあり、一度だけお笑いの話をしている最中に「お笑いも一緒だよ」と口にされた時はさすがに驚いた」(劇団ひとり氏)

「書評」ブライアン・クリスチャン著「機械より人間らしくなれるか?」

(読売新聞2012年7月15日)
「しかし、この大会にはもう一つ、奇妙な賞が設定されている。機械と比較され、より多く「人間らしい」と判断された人に贈られる「最も人間らしい人間」賞だ。ぎこちない旧式のAIならば心配無用だが、技術革新の目覚ましい今日、サクラとして参加する側も必死である。「自分こそが人」と審判員に認めさせなければならない。著者は「目の黒いうちはAIには勝たせまい」と、人を代表してサクラを演じる」(評:池谷裕二東京大学准教授)」