はるのぶのつれづれ

幼女の子宮で泳いでいた頃の記憶

「ニート問題は、ニートに職を与えれば簡単に解決すると思うけどね。

へんな集団訓練でお茶濁してないでさ。そりゃ、ただの怠け者でさえニートに入ってしまうから、定義上はニートに入ってしまう失業者も変に括られてしまう。でも、就業機会が増えるのを待ってるニートは確実に一定数は居ると思うけどね。」
「どうもニートという言葉がブラックボックス化しているように思えて仕方がない。ニートの社会的背景、そりゃ、もちろん就業機会の大幅な縮小のことなんだが、労働市場で汗水たらして仕事探してもがいた者までもが怠け者扱いされてしまうってのが痛いことだわな。もっとも、それを指摘する正当性が結果的に怠け者への免罪符を与えてしまうってことも痛いことには違いないんだが。なんかねえ、失業者を立てると怠け者も立つ、そのくせ怠け者を立てても失業者は立たない。なかなかカオス的によくできた言葉だよ。」
「怠け者というのはあくまでも個人のそのときの状態を指して言う言葉だったと思うんだけど、それがいつしか社会集団化したような感じがするわな。ニートって言葉によって。あ、分かった。ニートニートって英語で言ってるから言葉の意味があいまいになってたんだわ。これからはニートを『怠け者』と訳します、ってな。え?違うって。だってそうじゃないのかい。少なくとも一般的な使われ方はそうだよな。」
「だから最初っから『若年失業者』で良かったんじゃないのかい。簡単なことだよ。さっきも言ったじゃん、就業機会が増えればニート問題は解決するって。もっとも、『働いたら負けかなと思ってる』って言ったヤシも出てくるくらいだから、はじめから労働を拒否して、それが思想化しちゃったもんだから、ニート問題が単なる失業者のカテゴリーの問題から、イデオロギーの問題に飛び火してしまったんだ。まあ、件の発言したヤシはカスミ食ってる仙人だったそうだから、政府もそんな奇人念頭に、まさか一般化した政策を組みはしないだろうと信じたいんだが、どうやら政策も失業者対策から、若年者の叩きなおしに進んだままになってるよね。」
「まあ、イデオロギーの問題になってしまったから、怠け者(正確に言えば、怠けという状態)をどう解釈するかということ自体が、ニート問題を語る上での踏み絵というか、ニートを語るうえでの前提となってしまったように思うんだ。だから、怠け者を肯定的にせよ否定的にせよ、明確な形で評価することがどうしてもニート問題を語るうえで必要な作業になってしまった。もし、肯定的に評価してしまったら、社会に怠け者が蔓延したときの責任まで取らされかねない。否定的に評価してしまったら、怠け者を社会にたたき出すための方策についてのコメントを求められる。ニートという言葉で失業者をカテゴライズしてしまうと、どうしてもイデオロギーの問題から離れられなくなる。」
「だからなんだろうけどね、『「ニート」って言うな!』(本田由紀ほか著)って本があるじゃん。あの本は三人の著者が書いてるんだけど、三人とも怠け者についての評価を意図的に避けてるよね。そのうえでニートを語る。まあ、あれはかなりギリギリの行為だったと思うよ。本の中ではニートは一貫して鍵カッコで括られてるんだ。だから、『世間一般に流布しているいわゆるニートという言葉』という位置づけでニートを語ってるんだ。そのうえで思想的な評価は避ける。」
「もちろんそれは他者の言葉、この場合は世間だったり、著者の本田さんが事実上の主敵としている玄田有史さんであったりするわけなんだが(名指しこそされていないが、本田氏による挑発的な序文が玄田氏に宛てられたものであろうことは容易に想像が付く)、その人たちが使用している言葉を、自己も使用したという実質を、事実上は隠蔽してしまったことには違いないから、ズルいといえばズルいんだよ。もちろん、他者が使用している言葉をメインテーマに据えるためには仕方がなかったんだけどね。」
「でも、一旦ニートという言葉を使ってしまうと、あのイデオロギーの問題が論者には突きつけられてしまう。ニートを語ってしまうとどうしても怠け者についての評価が求められるんだ。だからこそニートという言葉を使わないようにしようという試みではあったんだけどね、あの本は。ただ、読者としては、著者が三人ともこの問題を避けてしまったという感は抱かずには居られなかったけどね。『人間、怠けるときもあろうよ』くらいでもいいからコメントは欲しかったよね。」
「まあ、ニート主婦なんて造語も作られるくらいだから、これからはニート社員も出てきそうだな。そうなったら、一億総ニート追放をやるってことになんのかな。心の中のニートを追い出すためにどっかの山奥で一か月くらいキャンプを頑張る。まあ、ここは裁判員制度みたいにキャンプ要因を選び出したりしてな。そうなったら、いままで若年層のニート化を憂えでいた方々も、『あんたも怠けてるからニートです』みたいにニート認定されて、心も体も鍛えなおす。それでメタボ対策にもなるから、一石三鳥だね。なにせ、怠けってのは人間のそのときの状態だからね。誰も逃げられんのよ。」
「いつのまにか、若年失業者問題がニートイデオロギーの問題になって、仕舞いに社会全体で怠け性向の打破に向かって、社会ってやつも随分と手の届くことをしてくれるというか、お節介焼きというか、まあ、こんな話は俺の脳内だけで完結してくれればいいんだけどね。ホントにやったら天下の奇観だわな。俺も巻き込まれるから笑ってらんねえ。はじめから失業者問題だったって言ってりゃよかったなんて後悔しないようにだけはしたいもんですな。そういやさっきの本も、仕事があればニート問題、すなわち失業者問題は解決するって主張だったな、基本的には。」
「ただ、件の仙人もそうだし、ニートスズキなんかもそうなんだが、働くこと自体を拒否する考えをニート自身が表明しはじめているから、ニート問題を純粋に失業者問題と仕切れなくなったのは事実だわな。そういう人たちもいるから、少なくとも働く意思はあるけど、就職をあきらめた人についてはニートの定義から外して、失業者としてカウントして欲しいもんですな。一時的に仕事ができない人もな。」
「まあ、失業者問題はニート問題の発生以降、可視化が難しくなったような気がする。職さえあれば就業する人までもがニートに括られたもんだから、失業者の実質的な総数が読めなくなった。しかもイデオロギーの問題まで飛び出してきて、極め付けには『働いたら負け』と言い出すニートまで登場した。こうなると、ニートが失業者の単なる言い換えではなくなって、考える主体になってしまった訳だよ。それで、通常は怠け者の文句とされる『働いたら負け』が勤労者を馬鹿にするニュアンスさえ含んでしまうようになった。こうなるともう泥仕合だよね。就業機会が増えて就職するニートさえもが、『働いたら負け』によって負け者呼ばわりされてしまう。本来ならば、失業問題が解決するのは目出度いことなんだけどね。」
「もちろん、ニートスズキについて言えば、『働いたら負け』が結局は芸能界に入るための見せ玉になってしまったと言えなくはないかも知れん。でも、彼が芸能界に入るまではたしかにニートとして、『働いたら負け』を言っていたんでな。ニートが独立歩行してしまうと、もはや、『「ニート」って言うな!』とは言えなくなるわけ。だって本人はニートとしてモノ言ってるんだから、反証でもないかぎり、『ニートはここに居る』って言うしかなくなるわな。スズキを念頭に置きながらな。とは言え、彼は大学を出た当初は漫画家志望だったから、潜在的な失業者とは言えないんだけどな。それに労働を拒否したって言うけど、べつに怠け者じゃなかったしね。むしろ野心家だったし。労働を拒否することが怠けを意味する訳じゃないんだよな。だって、他の手段で稼げばいいんだから。彼の場合、『働いたら負け』は『クリエイターになる』ってことだったからな。渡辺浩弐さんの『ひらきこもり』を地で行ったわけだな。」

「いやあ、いよいよ泥沼に嵌ったな。

だからニートって言葉は使いにくい。扱いが難しい。意図的に多義的になってるからな、言葉が。まあ、そりゃそうと、コア・ニートのスローガンになってる『働いたら負け』が、そのまま怠け者の遁辞となるのか、それとも何か新しい価値観への志向なのか、判断に悩むよな。少なくともニートスズキにおいては後者だったんだがな。」
「とはいえ、怠け者になってはならないという思いは、恐らくは誰しもが心のどこかに、新しい価値観への志向とは異なるものとして存在してはいると思うんだ。長らく仕事をしない生活が続くと、『もうそろそろ仕事するか』と思うのは、この気持ちも少なからず働いてるからなんだろうな。体が仕事を欲してるっていうことがもちろんあっての話しなんだけどね。それに親のスネをかじりつづけるのは、ものすごく後味の悪い行為だし。まあ、怠けるんなら自分のカネで怠けたほうがいい、って俺は思ってるよ。」
「『働いたら負け』という文句にインパクトがあるのは認めるよ。でも、言葉に酔いすぎちゃって、働いてる人を社畜呼ばわりして馬鹿にするのはよして欲しいよね。あれで悩んでるニートが実際に居るんじゃないの。働く機会さえあれば働くのに、求職活動はお休みしてるなんて人は、自分がニートって呼ばれてるのを知ってるし、でも近い将来に働こうっていう意思を持ってるんだから、言ってみれば『社畜』と『ニート』の中間点に居るよな。そこに『働いたら負け』なんてニートが現われたら、錯覚とはいえ、『俺って何か間違ったことしてるのか』って思わないのかな。俺の考えすぎか。」(スズキスレの>>1君はまさに典型だ。)
「だって、スズキがいつも言ってたじゃん。『働こうと思ってるヤツはニートじゃない』って。ニートの定義にはしっかり入ってるじゃんって言い返してもいいんだけど、どこか真実味があるんだよな。たしかに働こうと思ってる人は失業者でいいと思うんだよ。それをニートと呼ぶこと自体に無理がある。しかも『働いたら負け』と言い出すニートが出てきたんだから、働きたいと思ってる人はニートの座をコアなニートに任せたらいいんじゃないの。まあ、ただ、スズキの場合はニートじゃない人間は馬鹿だって感じで話すから、そこは余計なお世話ではあるんだけどね。その毒舌というか、妙な存在感、あの岸部四郎的存在感がスズキのスズキたるゆえんではあるんだが、一言で言えば濃いよなあ、キャラが。あの濃さは誰も真似できねえ、だから芸能界に入れたんだけどな。」