はるのぶのつれづれ

幼女の子宮で泳いでいた頃の記憶

卒塔婆詩(そとばぽえむ) 第9回

私はあなたでできているから
こうして生きていられる
あなたの子宮から生まれたことが誇らしいのです
こんどあなたのお家に遊びに行った時
知らない人を見るような目をしないで下さい
もう握手会では足りませんから

娘たちは裸で黒い銅像をとり囲む
草むらから沸き立つ白い湯気に当てられ
一人ずつ気を失ってゆくとき
最後まで立ち続けた少女
それが聖女だった

犬の交尾に人が嫉妬する
そうか、俺は人だったのか。

あの子はまだ小学生です
そっとしておいてあげてください


あの子は俺の許婚。
これから正式な手続を経たうえで新婚生活に入る
ああ、処女よ。ああ、聖女よ。
俺は嫉妬を恐れない
大いに妬いてくれ 俺たちのエゴイズムを焼きつけろ

処女が欲しい
腹の底から祈り倒して
舞い上がった天使の
レースの白いスカートを
掴み取った やっと
僕たちは幸せになることができた
おめでとう 僕たち さあ
みんなもおいでよ


本当の婚活はこうやるものさ
だって処女だもん
奇麗だもん
かわいいもん
だって処女だもん
萌えちゃうもん
陽気だもん


ここは
美少女だもん
のパラダイス
お金なんて
コンプレックスなんて
関係ないさ
(でも課金システムの街もあるな)


人間に疲れたら絵画に来なさい
ここでぐっずり忘れなさい
悲しまなくても 怒らなくても
ここに美少女がいる限り
僕たちは平気なのさ
(人間に限るから憎しみや差が生まれる
全てを絵画の中で生きるのです
過去の恋愛体験は問いません
喪の人もそうでない人もいらっしゃい)

何も語らずに処女を愛することができたら
女性を憎むこともなくなる
沈黙が誰にも強制されない結果として
男たちは愛を成就させる

憎しみの後に残る怒りは
人に向ける性質を持ち合わず
己の歴史に触れられた時
別人の顔を人に与える
怒りの本質は悲しみであり
沈黙である
明らかな光を当てることさえ許されず
そっと悟られぬ意志を持つ者の
闇によって救われる

血の滴る日曜日に
僕と圭子は買い物に出た
あるがままの日常に
人が過ぎ去る悲しい何か
そう、確かに何かだった。

人生のやり直しを命じられて処刑台
立ち会う人たちの姿はどれも既視感に満たされ
思い出せない名前たち
最後の言葉はせめて
これで最後にしてくれと言い残し
また一人死んでゆく

父親、母親、弟、そして恋人。
誰のせいでもない ただ死ぬしかなかった
だから悲しまないでくれ
そう言いたかったのか

職歴は人を殺す
結婚を考えたら自殺するしかない って
お前は喪男
(俺のキャラを奪うな)

箱をくれませんか
少し歩きたいのです