はるのぶのつれづれ

幼女の子宮で泳いでいた頃の記憶

沈黙がひき立てる圧力について(北野誠さんの謹慎を知って)

 まるで神隠しのように口を塞がれ、どこかへ連れて行かれた。ブログさえ消させた情報封鎖はまさに現代の蟄居か戒厳令である。この国には語ってはならない何かが、沈黙を命じながら居座りを続けているようだ。
 北野誠氏の謹慎を知ったのは昨日の夕刊だった。4日のサイン会が中止になったことは知っていたが、8日のミヤネ屋には通常どおりに出演しており、2ちゃんねる界隈で話題になっていた“誠の口封じ”は噂で終わるだろうと楽観視さえしていた。それが現実のものになった。やりすぎやろ、「関係者」。これが第一に思った印象である。
 「誠のサイキック青年団」が突然の終了になったあの日、打ち切りのアナウンスが「関係者」へのお詫びを繰り返していた。打ち切りについての事情が伝えられることはなく、「関係者」という言葉だけが響いてきた。「関係者」は番組内で誤解を与える表現をされたというが、ついにその名前を明かされることはなかった。リスナーの知らないところで何かが動いているようだった。
 誤解を解くのであれば素性を明かす必要がある。真実であるからこそ正体を明かせないのではないか。そう思いながら“最終回”を聞き終えた。放送局のメッセージは、最後までリスナーを忘れきっていた。ただ「諸般の事情」という言葉がきな臭く、圧力によって番組を終わらされたという確信だけが残った。
 サイキックを突然の打ち切りに追い込んだのは誰か。某宗教団体、某芸能プロダクション、某大物政治家、キダタロー氏、等々。およそ番組で取り上げられたことのある人物や団体には疑惑の目が向けられたが、ネットで交わされる推理は決め手を欠いていた。そこに今回の謹慎劇である。松竹芸能は同社主催の番組イベントでの発言により北野氏を謹慎させると発表した。ここでも相手は「関係者」とだけしか記されなかった。
 番組を終了に追い込み、そのうえ追い討ちの打ち切りにまでさせた。あまつさえ出演者を謹慎に追い込んだ首魁はもはや圧力としか考えられない。北野氏の発言を快く思わなかった者。しかも自らの存在を公に指摘されることさえ拒む者。朝日放送松竹芸能という二つの企業を的確に屈服させるだけの力。それが「関係者」である。
 番組やイベントで自身の名誉が傷つけられたと思うのなら、なぜ抗議文を公表しないのか。よほど酷いと思えば裁判に訴えればいいではないか。いずれも自身の名誉を公の前で回復する行為であり、憶測の余地を与えない正々堂々とした態度である。「関係者」とだけ連呼させれば名誉の回復どころか憶測の余地だけが膨らむ。自身の素性を明かさないことにより、「関係者」について番組やイベントで語ったことは真実として印象付けられざるを得ないだろう。
 今回の一連の騒動は北野誠氏の謹慎に至るまで、当事者であるはずのリスナーには何の説明もなされてはいない。ただ、北野氏が何らかの力に押し出されたという印象だけが残った。これが悪しき前例となり、芸能人の謹慎がその発言を封じる手段となりかねないことに不安を覚えている。そして、自らの素性を明かすこともなく一連の騒動を主導した「関係者」という力の大きさを思い知らされた。
 自らが流し、または自らが演出するプロパガンダ以外の発言はたとえ真実であろうとも許さないという、偶像破壊への強い恐怖心を今回の騒動でかいま見たように思う。裁判や公の抗議に訴えることなく自らの意思を的確に貫徹する一個の力の存在を前に、その犠牲となった北野誠氏の心中を今はただ察するのみであり、彼が芸能界に復帰するまで決してこのことを忘れてはならないと心に思う次第である。
 リスナーは復帰後の北野氏に今回の騒動の首魁を決して聞いてはならない。あえて聞くということは彼の芸能人生命を断とうということである。ファンであればそれについて一切触れないことが彼の復帰を進めることになると気づいているだろう。何も語らずとも、ただ沈黙するその姿が雄弁に何かを語っていることもある。今後も「関係者」については何も明かされないだろう。しかし今回の騒動を引き起こした力の存在は、無言によって語り続けれられるのである。その正体を聞き出すことはくれぐれも慎みたい。
(参照)
松竹芸能ホームページより「北野誠の処分について」
http://www.shochikugeino.co.jp/topics/2009/04/post-247.html
北野誠さんの謹慎処分を発表している。
竹内義和のどきどきブログ」より「こんな時に、なんですけど……」
http://takeuchi2.otaden.jp/e31997.html
2ちゃんねるで有力であった創価学会説について、「完全な誤解」として否定している。
岡田斗司夫のゼネラル・プロダクツ」より「元気な北野誠が見たい!」
http://okada.otaden.jp/e31993.html
犯人探しではなく、結果として誠さんのためになることを具体的な数値になる方向でやってみることを提案。(誠さんの新著は14日現在増刷待ち。)

付記(4月15日):

竹内義和サイキック青年団ファンスレ【北野誠】11
http://gimpo.2ch.net/test/read.cgi/rradio/1239720396/
どうやら新展開があった模様。だが即断は慎みたい。

付記(4月22日):

論理構成が粗い。何だかんだいって感情に任せていたのだろう。言いたいことの半分も伝えられなかった。見えない存在(しかし確実に推知しうるもの)を描くのは本当に難しい。“圧力”と書いたところで読む人によれば“未確認飛行物体”なみの妄想だと思われるだろう。しかし放送を聞いていた人はただならぬ事態を肌で感じていたわけだ。具体的な経緯は今も伝えられていない。

追記(2010年5月26日):

訴訟をちらつかせた場合、向うも番組に取り上げられた話について、芸能マスコミに掘り返されるリスクがある。だから易々とその手は取れない。それなら業界内の力関係を、と我われ素人は想像してしまいがちだが、真相は今も分からない。誠さんは復帰したが、復帰一本目となる関西テレビの番組の冒頭、司会のやしきたかじんさんから「なんで謹慎しとったんや」と聞かれ、「それを言ったらまた」と笑って、口にチャックを閉める仕草をしていた。

関連(拙稿):

サイキックが打ち止めになってぼう然としてる。
http://d.hatena.ne.jp/harunobu77/20090315/1237138742
「関西某重大事件は気になりだしたら止まらんわ。
http://d.hatena.ne.jp/harunobu77/20090420/1240235402
「新聞投稿に挑戦してみた。(第二回)」
http://d.hatena.ne.jp/harunobu77/20091216/1261158275