はるのぶのつれづれ

幼女の子宮で泳いでいた頃の記憶

卒塔婆詩(そとばぽえむ) 第1回

世界の立ち位置はどこか真新しくて
単純なほど壊れやすい
危うさを選んだ喜びに満ちている

誰もいないと早合点した部屋に
人がいる
確かにいる
見上げればそぞろ歩きの
透明めいた存在感
今日は回向の日

カーマインの恋は
幼い体に一線を画す
内なる糸をひくように
淡い白バラと出会うだろう

ラクダ物語は
月の砂漠を思い出して
かすかに浮かぶ砂の記憶

お料理少女が怒っている
夢オチでは済まない顔で

真っ暗な
画面だけがそれと分かる二者関係のなか
手をかざすと光に映らない

訪問者は自分の死体を見つけた
言葉につまった詩人のような無言で家を去り
永久に帰ってこなかった

幼い子をいつか森へ誘いたい
蒸し暑そうな顔で彼女は
掘ったばかりの穴を見つめている
幼女を抱いて穴に入った
三十年前の胎児のように

夕霧の 溶けて霞むは 紫の
雲居に沈む 秋の稜線

ナイフ
女を目掛けむ
桃色の血の溢れ出すのみ
受精はしない
交尾
一度きりの処女膜は男の精液を試す

詩のノート 第2回
http://d.hatena.ne.jp/harunobu77/20100408/1270730832
ほのぼのぽえむ(第二回)
http://d.hatena.ne.jp/harunobu77/20091016/1260372783