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美しい胸板に憧れて買った土粘土と紙粘土を
針金に巻きつけて塑像を等身大に仕上げる
白と黒の混ざり合った肌の冷たい匂いが胸を高まらせ
これが今日から私の新しい体なのだと
歓喜のなか額と額を合わせて念を入れる
魂を段階的に注入して半分
肉体は私の許を去った
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踏み込んだ朝の認識に応える
深い湖のようなプレパラートの視界
生命の神秘が時系列に広がり
弁証法的に命が始まり終わってゆく朝
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画面の向うで知らない男が
子供用のパンツに精液をかけている
すえた写真が半透明のプリントに犯されて
初潮を迎えたアイドルの対角線上にある
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ホモセクシャルのホストが同僚に抱えられ
半ば開かれた胸板に唇を当てている
男を求める目は素面のまま酔いに紛れていた
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落ち葉にうずもれた大地に砂をかけながら
馬は棺を横切って黒い土くれに影を宿す
月は半ば満ちては元の暗闇にすっぽり身を隠し
嘶きと共に棺の人間が立ち上がる
誰かに見られている気配を無数に感じて
冷たい葉陰に素肌を晒した
大きな叫び声が嘶きと響き合い
朝まで生き続ける
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客の居ない舞台でパントマイム
照明も付いていない客席から拍手が聞えてきた
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身代わりを求めて死んでゆく白鳥は
泳ぐべき湖を知らないまま足をばたつかせている
空しい涙を笑う見知らぬ者たちを呪いながら
死んでいった鳥たちを
真冬の沼に咲くアジサイは
時を忘れた貝殻のように
無意識の世界に押し込んでゆく
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真ん中の繰り抜かれた穴から世界が見える
かたよった思想だらけの海で人が溺れ死んでは
ろくに助けられずに浮かび続ける
不完全さが完全さと磨り替えられ
疑義を挟む者を海に落とす暗黙の順番
まるで全てを了解したような沈黙により
地は地として足を乗せることを許している
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地続きの肉体が語りだしては止まらない
衝動に任せて前衛舞踏のように地を這っている
言葉が断片的に聞えては
線香花火の終焉に消えて
掴めないもどかしさ
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そろそろ私を産んでくれ
私を産みたければ結婚しろ
それが嫌なら帝王切開させてくれ
私はお前の胎内にいる
後記:
詩というより、心象風景を描く場になってきた。普段から心に映っている風景をスケッチしたほうが、ネタに困ることはない。